誠心院はみやげ物店や洋服店、映画館などの多く集まった京都の繁華街、新京極通りの賑やかな雰囲気の中、静かに山門を構えています。初代住職といわれる和泉式部は、平安時代中期の歌人で中古三十六歌仙の一人。恋多き女性で数々の恋愛遍歴をもとに記された恋歌には情熱的な秀歌が多く、その才能は同時代の大歌人・藤原公任にも賞賛され、正に男女を問わず一、二を争う王朝歌人といわれています。娘の小式部に先立たれた後は、書写山円教寺の性空上人に勧められ、誓願寺の本堂に籠りご本尊に教えを受けます。女人の身でも六字の名号をお唱えすれば、身の穢れも消えて往生できる事を聞き、六字名号を日々お唱えして、阿弥陀如来と二十五菩薩に迎えられ浄土へ往生したといわれています。
和泉式部の命日に当たる三月二十一日には本堂に於いて、午前十一時より式部所縁の謡曲「東北」「誓願寺」の奉納があり、午後一時からは永代供養総供養を、また午後二時からは「開山和泉式部忌」と「春のお彼岸法要」が併せて行われます。
新京極通りで買い物や観光を楽しむばかりでなく往時と変わらない静寂を残す寺院でひと時の静けさを味わってみるのはいかがでしょうか。その折には和泉式部の恋多き人生と歌を少し学んでおくのもよいかもしれません。