当社では『印刷のプロ』として、ハード面の品質(RGB6印刷や、カタログ診断、カラーマネジメントシステム等)だけでなく、ソフト面(マーケティング理論に基づく紙面デザインやDMのBPOサービス)でもお客様のお役に立てるよう、日々努力を続け、実績を上げております。今回はその中から当社エグゼクティブデザイナー石山執筆による『ダイレクトマーケティングコラム』を紹介させていただきます。DM制作コストを見直したい方、ユーザーの心に届くツールを提供したいとお考えの方の参考になれば幸いです。
ユーザーランク別にDMツールを開発する
1万の顧客リストに対して、同じDMを送ることは効果的ではありません。
顧客の購買状況に合わせてツールを開発し費用対効果の観点から効率の良いDM配送計画を設計します。
この図では、Cは初購入実績客、Bは再購入実績客、Aは定期購入客として分類しています。
各キットを有効に運用する
条件分類した3タイプの顧客に対して、3種のDMキットを開発します。
この各キットを3タイプの顧客に送るわけですが、往々に上位客にフルセットの豪華なキットを送りがちです。
つまりA客に大型、B客に小型、そしてC客にカードDM。これは購入額または頻度の多い客ほど、豪華なDMが届くことになり、おもてなしとして最適なように思われますが、けっして効果的ではありません。
顧客満足をくすぐる施策が必要
まず、同じものを3つのタイプの顧客に送ってしまうと初めての感動が2回目からは持続しません。
購入頻度が上るにつれて、最適なDMを送る必要があります。
このケースでは、初回購入の顧客Cには再購入誘致のハガキDMを送ります。
その客が再購入した場合、Bランク客に昇格しますので、DMキットは大型になります。
さらに購入が定期化した顧客Aには小型DMを送ります。
顧客Aは商品の購入特性が解っていますので総合カタログではなく、単独商品紹介のほうが購入が促進します。
つまり顧客特性を理解したおすすめ商品の案内が届くことになります。
このように優良客へと醸成するためのもタイプ別DMキットは有効です。
また、ハガキDMには総合カタログの希望案内が紹介され、希望があった場合に総合カタログを送付します。
C客にはこのタイミングで大型DMキットを送付します。
顧客Aも同様にアンケートなどによるカタログ希望を促します。
このように、費用対効果を最大化させる施策が顧客分類とタイプ別DMキット開発です。
顧客反応によるDM再送の手法をプログラムにする
特定商品販売のための3種のDMキットの運用を解説します。
このフロー図は購入見込み客を優良客ロイヤルカスタマーに醸成するプログラムです。
未購入客への再送DM、再々送DMは同じものではなく形状を変えて送付、アプローチの表現を変えて商品紹介(購入誘致)を展開します。
チェンジオブペースで顧客を刺激する
DM送付後2週間以内に購買行動がなければDMの再送を行います。
このとき、初回と全く同じDMキットを送ってしまうと購買行動がおこりません。
したがって、アプローチの手法を変える必要があります。当然、形状も変更します。
これはチェンジオブペースと言われる手法です。
初回がイメージ訴求であれば再送DMは特典訴求、再々送は価格訴求などとなります。
顧客への効果的訴求ポイントを探り出す施策です。
また、その商品での購買行動がない場合は、別カテゴリ商品へ展開するか、グレードアップ、グレードダウンなどを検討します。
つまり、毎回ワンパターンではなく手法を変えることが大事です。
また、この施策は準備としてプログラム化しておきます。
ツールもあらかじめ多種を用意し、タイプ別のレターも準備しておきます。
実行段階では自動的にプログラムが進行でき、スムースなDM活動が実現します。
優良顧客のためのMGM(メンバーゲットメンバー)プログラム
商品を定期購入する顧客が醸成された場合に、さらに有効な手法がMGM(メンバーゲットメンバー)プログラムです。
これは、一般的には「おともだち紹介」のことですが、顧客の定期購入が進み、優良顧客としての条件が整ったお客様への施策です。
つまり、商品を通して顧客との信頼関係が醸成され、「自分が使っているものを、知人にも紹介したい」段階がMGMの効果が最大になります。
とうぜん紹介先や紹介していただく顧客に対しては納得の行く対応が準備されていなければなりません。特典の準備が必要です。
MGMプログラムでは紹介先のお客様が購入された場合に特典が実行されるのが通常ですが、効果的な特典実行を決定し、周知させておくことも重要です。
ツール開発費用だけでなく全体予算の設計をする
DM活動は、複数の作業で構成されています。
送付するDMやカタログ作成とDMの発送、そしてフォロー作業です。
またMA(マーケティングオートメーション)のシステムを活用することも効果的です。
これらの作業は、部署が分かれて行われる場合がありますが、重要なのは、成果目標に対しての予算配分です。
よりたくさんのユーザーへ送付する場合は郵送費用が多くなります。
また、限定ユーザーへの特別企画であればDMの形状やパンフレットの製作費用に予算が配分されます。
また、販売後のアフターフォローが必要な企画では、コールセンターやそのスタッフに費用が掛かります。
つまりDM戦略には全体の予算設計が必要です。
カタログ形状と配送費用をトータルで予算設計する
DMキットの形状と運送費用はセットで検討する必要があります。
つまり、どのような形状が効果的で、その形状であればどのような運送手段が最適なのか。これを別々に設定するとコスト面での損出が出る場合があります。
また、配送コストは都心部であれば全国広域配送にくらべて条件のいいメニューがありますので、比較検討する必要があります。
コールセンターを活用する場合も、アプローチトークの作成やメッセージの統一が必要で、効果的なトークスプリクトを作成します。
そのためのトレーニングにも時間と予算を設定する必要があります。
ダイレクトメールでのマーケティングに効果的なMAシステム
DM活動は、顧客行動特性の分析と行動予測が必要です。
そのためにMAシステムを活用する手法があります。
とくにメディアトリートメントによるwebsiteの閲覧追跡を使って、嗜好特性の把握を行い、DM活動に活かす手法です。
このMAシステムは販売促進を支援する企業でのサービスの取り組みが始まっていますので、自社に合ったサービスを検討し採用するのがいいでしょう。
石山智男 略歴
1954年福岡市天神(中央区今泉)生まれ。1977年からプロダクションデザイナー、アートディレクターとして、広告制作、レタリングデザイン、パッケージデザイン開発等を担当。1992年からコカ・コーラ社マーケティングプログラムのガイド制作や実施活動支援を担当。「生産性の高い売り場づくり」実現のためのスペースマネジメントをカタログや店頭演出に応用した理論を構築。またクリエイティブワークをスピーディに行うための企業セミナーを開催。ブランディング領域でもイオンプライベートブランド「トップバリュー」のパッケージデザイン開発など多数。2012年から2022年まで、土山印刷にてマーケティングミックス・デザインワークのコーチングを担当。シニアホビーコンサルとして書道、楽器演奏、スポーツの楽しみ方の紹介活動を行っている。
最新記事 by (全て見る)
- 健康経営優良法人2024(中小規模法人部門) 認定について - 2024年3月21日
- 新しいブログ記事を公開しました:企業カレンダーを制作するとき、知っておきたいポイントとは? - 2022年9月29日
- 企業カレンダーを制作するとき、知っておきたいポイントとは? - 2022年9月29日