公開日: 2021年8月5日 - 最終更新日:2021年8月5日

実は経営者がボトルネック?組織のDXがうまくいかない理由と解決策

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皆さんの組織ではデジタルトランスフォーメーション(DX)は進んでいますか?

残念ながら、そうではない……と思う方が多いのではないでしょうか。

実のところ、DXの成功は現場の努力だけでなく、企業の上層部がきちんとDXの重要性を理解し、リーダーシップを取って推進していけるかどうかにかかっています。

とはいえ、ただでさえ今の時代、特に中小企業の経営幹部の負担は大きく、DXについて考えるのは大変なものです。ですので、デジタル知識はあまりないけれど、現状のままではまずいと思っている経営幹部の方や、現場担当者でDXを進めたい方に向けて、組織のDXが上手く行かない理由と解決策をまとめてみました。

 

デジタルトランスフォーメーション(DX)の現状

DXという概念が提唱され始めたのが2004年。それから16年経過した経済産業省の2020年の調査では、企業のうち、DXを推進したことで顧客からの評判が向上した企業が46%、生産性が向上した企業が41%、コストが削減できた企業が45%、利益が向上した企業が45%、新しい製品・サービスが開発できた企業が39%あり、しかも、2018年よりもこの割合はおよそ12%上がっています。

DXの推進は多くの企業に長期的な利益をもたらすことは言うまでもありません。逆に、推進できなかった企業は、それだけ不利を被った状態で経営を続けることになります。

それだけではありません。2025年の壁までに、DXを推進できなかった企業は、システムが内部から破綻するおそれがあるといわれています。

2025年の壁が近づいている

経済産業省『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』より引用

「2025年の壁」とは、2018年に経済産業省が提唱した概念です。企業内のシステムを刷新し、IT人材を取り入れることができなかった企業は、2025年以降は1年につき最大12兆円の損失を垂れ流し続けることになる、という衝撃的な発表をもとにしています。

2025年の壁が起こる理由の一つは、市場の変化に企業がついていけなくなるためです。2021年現在で既に、顧客管理や業務管理のためにデータを活用できている企業と、活用できていない企業には差ができていますが、2025年ではこの差は企業の努力では埋めようがないほどに広がってしまうと考えられています。

もう一つは、これまでのデジタルシステムを新しいシステムに移行できなかった場合、維持費が際限なく膨れ上がっていくためです。これは、多くの企業が利用している経理・総務システムの基幹となっているSAP ERPというシステムが、2030年には保守を終え、完全に使用不能となってしまうこと、2025年にはIT人材の不足が43万人を超え、古いシステムの修復に人的リソースを回す余地が社会全体から失われることに由来します。

その上、新型コロナウィルスの影響で、社会全体が急速にデータ活用・DXの方向へと進んでいます。2025年という予測は、前倒しする必要すらあるかもしれません。来年、再来年までにDXを終えていなければ、もう会社を経営していくことができなくなる、そんな恐ろしい時代が来ています。

 

組織のDXがうまくいかない理由

そのような差し迫った状況にあるにも関わらず、会社組織がDXを推進できない理由はなんでしょうか? 経済産業省の調査、および国際最高デジタル責任者/最高データ責任者クラブ(CDO Club Global)の調査から、理由はある程度絞り込むことができます。

経営層の知識不足・理解不足

最も大きな理由として残念ながら言える理由は、企業の経営幹部の方たちが、DX推進を望んでいながら、知識が十分でないために積極的なシステム更新や思い切った設備投資を、現場の希望に反して行えていない、という点にあります。

例えば、古いシステムから新しいシステムに変更するために必要な投資金額を見て、古いシステムがまだ利用できるのか、そのとも今から移行を始めないと危険なのかを判断できないままに、とりあえず現状維持として「まだ既存システムが使えるからもう少し先に」と決定してしまったことはないでしょうか。

または、自社のビジネスにそのシステムが本当に合っているかどうかを技術的に判断できず、他のシステムを比較検討しないまま、これまで付き合いの長かった業者の提案通りのシステムを導入してしまい、結局現場から使いづらいという声が上がっている、などの事態は起こっていないでしょうか。

こういった自体が起こるのは、意思決定者がUI・UXや処理能力、スペックなどを軸とした評価が行えず、価格・コストパフォーマンスだけを見たり、あるいは外部の業者に丸投げした状態でシステム導入を決めてしまうことが原因であったりします。

もちろん、経営幹部という業務は多忙で、十分に確認や調査に時間が取れないことが多いでしょう。ですが、意思決定者の知識不足・理解不足が最大のボトルネックとして報告されているのは、残念ながら事実なのです。

要員稼働不足(リソース不足)

株式会社マネジメントソリューションズの2019年11月の調査では、DXを進めるプロジェクトを行う時、「プロジェクト開始前に必要な要員リソースの質、または、量のチェックを行っていない」ままで動き始めてしまうことが全体の74%も存在したそうです。

プロジェクトのマネジメントや全体の旗振りを誰が行うかを考えないで、適当な役職者に兼務でプロジェクトを振ってしまった結果、仕事に追われた状態で出入り業者に仕事を丸投げしたり、あるいは十分なマネジメントができないままプロジェクトが進んでいき、結果的にDXが明後日の方向に動いてしまう、ということは、よくあることのようです。

作業の標準化/定量化ができていない

もちろん、問題は経営幹部や旗振り役だけではありません。現場の作業が標準化/定量化できていないこともDXの推進の失敗の元です。なぜなら、デジタルシステムはルーチン化された作業を簡単にしたり、共通点のある同じ作業から省力化できる工程を割り出すのは得意ですが、バラバラの手順で行われている作業に対してはあまり効果的ではないからです。システムに属人化された手順を盛り込むと、ソフト部分を1から開発しなければならなくなるだけでなく、データの統計を取ることも難しくなり、結果的に開発はしたけれど役に立たないシステムができあがってしまいます。

現場が属人化の排除と作業の標準化に協力して初めて、DXは円滑になります。

システムの複雑化

最後の大きな問題は、既存のシステムから新システムに移行するのが難しい状況です。特に早期のうちから社内のシステムを電子化していた企業ほど陥りやすいのですが、最初期に作ったベースとなるシステムに別の機能を追加することを繰り返した結果、システムそのものが際限なく肥大化していってしまうと、もはや全てを新システムに移行することが不可能になります。

既に書いた通り、2025年にはIT人材の不足が43万人を超え、古いシステムの修復に人的リソースを回す余地が社会全体から失われることは避け得ない未来です。巨大化したシステムは、放置すれば放置するほど莫大な維持費を会社から持っていきます。そのためにも早期にシステムの機能を切り分け、必要な機能だけを新規開発したり、ローコード開発体制に移行するなどの戦略が必要です(こうした戦略を進めるためにも、稼働要員をきちんと用意す べきです)。

 

組織のDXを成功に導くために

長々と書いてきましたが、正直DXが上手く行かない理由はどこの組織でもあることでしょうし、誰が悪い/何が悪いというものではありません。むしろ、全社員が協力しあって少しずつでも現状を変えていかなければなりません。もうタイムリミットが近づいており、放置すれば状況が悪くなっていくのを思い出すべきでしょう。

このようなDXの推進のためには、「実験」「透明性」「能力主義」の3つが重要だと説いているのが、ベインキャピタルの代表取締役(2018年時点)のダレン・ハーマンです。

「失敗をしてもいいからとにかくやってみて、結果失敗しても責任の所在を探すのではなく経験知を得る『実験』」、「どの社員も望んだ情報にアクセスでき、作業の手順や誰がどんな仕事をしているのかなどを誰もが知ることができる『透明性』」「年齢ではなく能力や役割に応じて社内に人材を配置し、また発信できるようにする『能力主義』」の3つがある企業は、DXを上手く進めていくことができるのだそうです。

では、そのためには何をすればいいのでしょう。

組織の風通しを良くする

上層部が現場の、現場が上層部のやりたいことを汲み上げるような社内の雰囲気があれば、経営者側にDXの十分な知識がなくてもDXを推進しやすくなります。ドイツの大手製薬会社であるバイエルは、社内のDXを進めていくために「重要なことは”タイトル(肩書)”ではなく”ファンクション(果たすべき役割)”である」という思想のもと、「社長が行うべきこと」や「現場が行うべきこと」という肩書による責任の押し付け合いをやめ、全社員が自分ごととしてDXを推進した結果、社内システムの刷新に成功しています。

とはいえ、海外、特に人材の流動が盛んなヨーロッパと日本国内とは事情が異なります。ですが、似たようなことは行なえます。

例えば、船井総研は「デジタル右腕を作る」という提案を行っています。つまり、デジタルのことがわからない社長であっても、自社の社員のなかでもデジタルに強い人材を専業部署に据えて、自分のやりたいことや現場の希望を伝え、その上で外注業者や自社内の調整を任せていけば、DXは進められるわけです。もちろんこれには、社長自身がデジタル右腕を見出すだけのリテラシーや、右腕の助言を素直に聞き入れ、率直に腹を割って話すだけの風通しが必要です。そうでければ、せっかくのデジタル人材は社長の御用聞きになってしまい、社内のDXは停滞してしまいます。

全社的な標準化/定量化を進める

前者の作業のうち、標準化と定量化が必要です。例えば戦略一つにしても、作業が標準化/定量化できていれば、そのプロジェクトに必要な人月、現状のリソースでまかなえる部分、目標となる数値を推定や推測なく現実的なものとして計算できるようになります。標準化が進めば、DX導入のような大規模プロジェクトが楽になるだけでなく、DXを進めていくにあたって必要な要件定義も楽になります。

加えて、きちんと標準化・定量化を行えば、たとえプロジェクトが上手く行かなかったとしても、次回以降の改善につなげることができます。

アジャイル型のローコード開発プラットフォームから始める

風通しをよくして、標準化/定量化を進めることに成功したなら、まずは小さいところからDXを始めていきましょう。大規模なプロジェクトを上げるよりは、アジャイル型(仕様や設計が変更することを前提として、まず大雑把に作った上で細かいテストを繰り返して進めていく)のプロジェクトを進めていくといいでしょう。

その時に有効なのが、Microsoft Power PlatformKintoneSalesforce Lightning Platformのような、ローコード開発プラットフォーム(プログラム言語を書く必要が殆どないアプリケーション開発のプラットフォーム)です。プログラム言語が書けない人材でも、業務のうち一つを効率化するために、ローコードプラットフォームを使ってアプリケーションの開発を行うことはさほど難しくありません。むしろ、現場の担当者などが積極的にアプリケーションを開発できるため、現場の自助努力でDXを進めていけます。

 

ツールを入れればいい、ではない

結局の所、DX推進に本当に必要なのは、ツールを急いで入れることではありません。むしろ、会社が一丸となって2025年の壁を打ち破る協力の精神です。

一丸となり協力するためには、幹部から新人社員までが地位を一度忘れ、組織内のしがらみを取り除き、お互いのやっていることを見える化・標準化していく必要があります。

DXにかかわる全員が、全社的な取り組みとして自分ごとのDXを進めていくこと。それがDX推進の鍵でしょう。

また、そのときには自社内で集中できない雑務を外部委託してみるのも手です。その時は、BPOサービスの利用や、帳票管理代行サービスの利用を一度お考えになってみてはいかがでしょう。

土山印刷のBPOサービスについてはこちら!

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