企業の販促方法として一般的なダイレクトメール。ただ、ダイレクトメールは基本的に顧客の名前の住所を指定して送付しなければいけません。しかし、日本郵政のサービス「タウンメール」「タウンプラス」を利用すれば、顧客情報がなくても宛名不要でダイレクトメールを送付することが可能です。
「タウンメール」「タウンプラス」とは
では、「タウンメール」「タウンプラス」とはどのようなものでしょうか。
配達地域指定郵便
「タウンメール」とは、指定した地域全戸に郵便局員が郵便物を配送する、郵便局が実施している「配達地域指定郵便」のサービスです。(タウンメール=配達地域指定郵便である、ということです)
配送が可能であるのは定形・定形外の手紙郵便物に限られますが、顧客リストが不要であり、指定配送地域の配送可能な全ての場所に配達ができ、配達区画を丁目単位で指定可能という、郵便局が行うサービスならではの利点があります。
「タウンプラス」はタウンメールの配送サービスを拡張するもので、タウンメールでは配送できない荷物が配送できるほか、配送地域における特定のマンションや特定のターゲットなど、指定したセグメントに配送が可能であるという特徴があります。
それぞれ顧客リストからなる宛名指定が不要である為、マーケティングにおいては、ある特定の地域に広くお知らせをする場合や、ポスティングではカバーしきれない範囲における広告に向いていると言えます。
使い方次第では、ポスティングのカバーする範囲の広さと、ダイレクトメールの確実なアプローチという、両方の郵便物による広告の長所を活かすことが可能です。
タウンメールとタウンプラスの違い
郵便物表面への表記
まず、タウンメールとタウンプラスを出す際に注意すべき点は、それぞれ表記が異なる点です。タウンメールの場合、「配達地域指定」と郵便物の宛名欄に記入し、タウンプラスの場合は「タウンプラス」と記入する必要があります。なお、それぞれ宛名を書く必要はありません(差出人の情報は必要です)。
配達日数
一般的にタウンメールの配達日数は、通常の郵便日数に3日程度加算されます。タウンプラスの場合、タウンメールよりも加算日数が増えることがあり、一般的に5〜7日程度通常の郵便日数よりも加算されます。
事前申請
タウンメールは2022年現在、事前申請が不要であり、どの地域に幾つ配送するかを纏めた配達地域指定郵便物差出表を郵便局へ提出することにより配送されます。一方、荷物等を入れなければならないタウンプラスの場合、郵便局への事前申請と相談が必要であり、また、差出計画書と郵便物差出内訳表の提出が求められます。
準備期間
一般的にタウンメールの準備期間は3~5日、タウンプラスの準備期間は、郵便局との相談を含めて2週間程度かかります。
料金体系
タウンメールの料金体系は重量による定価であり、送る郵便物の量が分かっていれば、あらかじめ算出できます。なお、タウンプラスは特約料金である為、郵便局の査定により料金が決まります。
1通当たりの料金
タウンメールにおいて1通当たりの料金は配達物の重量により決められており、
25gまで57円、50gまで67円、100gまで81円という指定の料金がかかります。
タウンプラスにおいては、配送戸数や形状といった条件により変動し、1通当たり29円~56円ほどとなっています。
最低差出個数
タウンプラスにおいては、同一の形状かつ重量のものを同時に差し出す場合の最低差出個数が500通と決まっています。逆にいえば、同一の形状・同一の重量で、同時に差出すのであれば、印刷内容を変えても問題はありません。2パターンのはがきを作り、A/Bテストを行う、といったことにも使えます。
タウンメールは指定した地域全戸に郵便局員が郵便物を配送するため、基本的に地域別で最低差出個数は変わってきます。また、差出地域の最低数も場所によっては存在するため、注意しましょう。
差出方法
タウンメールは、郵便区番号ごとにまとめ、配達郵便局に提出します。タウンプラスはさらに、配達地域区分局へ差出することも可能です。
差出郵便局
差出方法に依ります。つまり、タウンメールであれば、町丁目単位の全戸に配布するための配達郵便局が差出郵便局であり、もしタウンプラスであれば、配達郵便局が管轄する配達地域区分局ならびに配達地域区分局内の他局が差出郵便局です。
その他
タウンプラスでは、マンション指定や、年齢・性別・建物の種類といった、国勢調査に基づいた細かいターゲット指定を行う、セグメント指定のサービスを行っている地域もあります。
配りたい対象をより絞ることで、より効果的な反応が見込めるでしょう。
まとめ表
タウンメール | タウンプラス | |
郵便物表面への表記 | 「配達地域指定」など、タウンメールと分かるように宛名欄へ記入 | 「タウンプラス」と記入。封筒を用いる場合は表紙へ記入が一般的 |
配達日数 | 通常配送日数+3日程度 | 通常配送日数+5~7日程度 |
事前申請 | 必要なし(どの地域へ何通出すかという配達地域指定郵便物差出表は必要) | 必要あり。郵便局と計画を相談し、差出計画書と郵便物差出内訳表を提出 |
準備期間 | 概ね3~5日程度 | 計画にもよるが、2週間程度 |
料金体系 | 重量による定価 | 特約料金 |
1通当たりの料金 | 25gまで57円 50gまで67円 100gまで81円 の固定 | 1通当たり32円~56円ほど その時に応じて変動する |
最低差出個数 | 指定なし | 最低500通 |
差出方法 | 郵便区番号ごとにまとめ、配達郵便局に提出 | 郵便区番号ごとにまとめ、配達郵便局・配達地域区分局に提出 |
差出郵便局 | 配達郵便局 | ・配達郵便局 ・配達郵便局が管轄する配達地域区分局 |
セグメント指定の有無 | なし | あり |
ポスティングとの違い
同じように特定の地域や建物などに印刷物を送る方法としてはポスティングサービスがありますね。
タウンメール・タウンプラスとポスティングサービスにはどのような違いがあるのでしょうか。
①配達員
ポスティングとの大きな違いが配達員です。ポスティングは最近成長産業ということもあり、どうしても配達を引き受ける企業によっては、経験不足などが原因のクレーム発生リスクが高いとされます。
しかしながら、タウンメール・タウンプラスの配達を請け負うのは、長年の配達ノウハウが存在している郵便局員であり、誤配送リスクが低く、信頼性も上がります。
ポスティングや、品質の高いポスティングサービスを受ける方法について、詳しくはこちらの記事で紹介しています。
②配達方法
ポスティング同様、タウンメール・タウンプラスもポストへと投函されます。
ただし、郵便局員が配送を請け負うことから、郵便局の通常配送業務と並行して行われるため、他の郵便物同様の形式で、自然な形で広告物を届けることができます。
このことから、タウンメール・タウンプラスを利用した場合、ポスティングと比較して、「ポストを開けたら、チラシだけが入っていた」という状況よりも、受け手が感じるストレスは低いと言えるでしょう。
③建物への入場についての法的な権利
ポスティングにおいてネックとなるのは配達拒否の存在です。せっかくレイアウトを工夫しお得な情報を掲載しても、配る段階になって届かないということは十分に起きます。
また、質の悪いポスティング業者の場合、配達拒否でも敷地に侵入してしまい、近隣住民とトラブルになってしまうということがあるのです。
一方、郵便局員は郵便法により、ポストのある敷地内へと行く事が許可されています。配達拒否される割合が減るので、それだけ目標にした相手に届けやすいわけですね。
タウンメール、タウンプラスの利用方法と流れ
配送地域の絞り込み
通常のポスティング同様、配布する地域を絞り込んだターゲティングを行います。
事前に郵便局にて配達可能箇所について相談することが可能であるため、利用するとよいでしょう。配達可能箇所が発行部数になることから、どこにどれだけ配布すればよいかの計画立てにも役立ちます。
広告の計画に沿った地域を選択し配送地域を絞り込むことで無駄のない配布が可能であり、コストを抑えるだけでなく、効果的な販促活動に有効です。
ダイレクトメールの作成
ターゲットを定めたら、伝えたい内容を決め、配布する印刷物を作成します。確実に投函されることがわかっている為、ポスティングチラシでは出来ない工夫ができる、ダイレクトメールのノウハウが利用できます。
しかし、いくらポストに入ることが確実しているとはいえ、手に取ったときに「これは読まなくても良い」と顧客が判断してしまうことは残念なことです。
ですから、顧客に興味を持って貰うほか、視覚に強く訴えかけるというダイレクトメールの特徴を生かし、サービスや商品を利用したいと思わせる工夫を行う事が大切です。
タウンプラスを利用するなら、サンプルを同梱するのも良いでしょう。
ダイレクトメールの作成に関しては、こちらの記事でより詳しく紹介しています。
ダイレクトメールの区分
ダイレクトメールのデザインやレイアウトを決めたり、どういったプロモーションを行うか決定したら、その広告物がタウンメールで配布するのがふさわしいのか、タウンプラスで配送する方が効果的であるかを比較し、区分を決定しましょう。
主に、ポスティングのように広範囲に素早くお知らせを届けたい場合は、準備期間が短くて済み、配送日数も掛からないタウンメールが向いているでしょう。
特にはがきタイプの印刷物や、定形郵便の封筒に収まる形の軽量なサンプルを同梱するのであれば、なおさらです。
一方、普通のはがきではなく、他とは違うような、一際目を引くような工夫を凝らしたり、大きめの配布物を届けたい場合、タウンプラスの利用が向いています。この場合、郵便局との事前相談をあらかじめしておくと、この後の配送がスムーズでしょう。
配布計画や、想定しているコストなど「どういった層にどれだけ届けるのか」という面からも、タウンメールか、タウンプラスかの区分を考えることも大切です。
もしも「計画を立てたが、どちらの区分なのかわからない」という場合でも、土山印刷が相談に応じます。
郵便局または分局へ持ち込む
印刷物を制作し、タウンメールで行くのか、タウンプラスで行くのかを決定したら、いよいよ顧客の手に届ける為、印刷物を郵便局へ預けます。
タウンメールの場合は配達郵便局へ、タウンプラスの場合は、配達郵便局のほか、配達地域区分局ならびに配達地域区分局内の他局へと提出します。
提出する際は「配達地域指定郵便物差出票」という、重量や通数、料金をまとめた書類への記入が求められます。
特に相談などの事前準備が不要なタウンメール配送でも、前もって計算しておくと便利でしょう。
タウンメール、タウンプラスの活用で困ったら土山印刷へ
郵便局のサービスを利用した販促活動についてまとめました。不明な点は解決したでしょうか。
より詳しい情報が必要な方や、抽象的にダイレクトメールを送りたいと思っているものの具体的な方法がわからない方は、ぜひ土山印刷にお気軽にご相談ください。
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